わが国における埋葬施設と言えば、一定の大きさに区切った土地に墓石を建てる霊園タイプのお墓が長らく主流でした。しかし近年では、東京などの都市部を中心に納骨堂タイプのお墓が普及してきています。納骨堂とは1つの建物の中に複数の遺骨を安置するタイプの埋葬施設で、形態的な特徴から「お墓のマンション」などと呼ばれることもあります。その言葉のイメージ通り、1つのフロアに小さく仕切られたいくつもの安置スペースが設けられていて、それが複数階に及んでいるというのが一般的なスタイルです。
従来の霊園タイプと比べた場合、納骨堂には限られた敷地でも多くの遺骨を安置できるという利点があります。そのため、不動産価格の高い東京のような大都市にも造りやすく、立地条件も良好なものとなります。これは、利用者側から見ると交通の便が良くてお参りしやすいというメリットにつながります。利用者側のメリットと言えば、費用の安さも見逃すことができません。
個々の施設によって差はありますが、霊園タイプよりも占有する空間が小さいため、利用料は総じて低めに設定されています。さらに、ビルと同じような形態であるため入口のすぐ近くまで車でアクセスできる、雨の日でも傘を差さずにお参りできる、などの細かな利点も上げることができます。東京に所在する納骨堂は、専門の葬祭事業者や寺院などが運営しているのが一般的です。ただ、寺院運営のものであっても宗派や宗旨に関わりなく利用可能としているところが多数を占めています。